碓氷峠鉄道文化むらに行ってきました!
先日、群馬県安中市にある碓氷峠鉄道文化むらに行ってきました!今回はその模様をお届けします。
今回使った切符たち。9月中の平日限定で発売されている「ひみつの平日パス」を購入しました。特にエリア内で途中下車するわけでもなく単純に往復切符代わりの利用方法にはなりますが、普通に最寄り駅から横川までの切符を購入するよりもこちらを利用する方が安かったです。
東京~高崎間の往復は引退が迫った上越新幹線E4系Maxに乗車しました。この模様はブログではなく動画にまとめました。この記事の一番下にYoutubeのリンクを貼っておくので、そちらもよければご覧ください。
高崎に到着。ここから信越線に乗り換えて終点の横川まで向かいます。
横川に到着。
横川駅から先軽井沢駅までは急勾配が連続する峠越え区間となっており、アプト式という特殊な機構を用いて列車が運行されていました。1997年の長野新幹線(現北陸新幹線)開業に伴いこの区間は廃止となりましたが、横川駅のホームにはこの頃の記憶を伝える展示物が設置されていました。
横川駅の駅舎。左手には峠越えに使用されたEF63-3号機関車の動輪が展示されています。写真には写っていませんが、右手には横川駅名物の「峠の釜めし」の販売所もあります。
横川駅から徒歩3分ほどの場所に碓氷峠鉄道文化むらはあります。
というわけでいよいよ入場。入園料は大人500円。入園券に鋏を入れてくれます。
園内を周遊する2フィート(610mm)ゲージ軌道の「あぷとくん」。この日はDL機関車が牽引していましたが、蒸気機関車のグリーンブリーズ号が牽引する日もあります。
入ってすぐの左側には鉄道資料館があります。
1階にはHOゲージのジオラマがあります。
2階には碓氷峠の歴史が詰まった数々の資料が展示されています。
峠越え区間を走る鉄道の建設と運行への苦労を学べる非常に興味深い展示物群でした。ここをじっくりと見て回るだけでもかなりの価値があると感じます。
入口を入った目の前にあるシンボル広場にはアプト式軌条が展示されています。アプト式鉄道の特徴は真ん中にあるラックレールという3本の歯形のレール。これが車両側の歯車と噛み合うことで急勾配の峠越え区間の走行を可能にしています。碓氷峠廃止後は大井川鐵道井川線でのみ現役で使用されています。
シンボル広場にはこの他に碓氷峠で特急あさまとして使用されていた189系電車が展示されています。奥に見える建物は碓氷峠を走った電気機関車の展示や運転体験シミュレータがある鉄道展示館です。鉄道展示館は碓氷峠が廃線になるまで使用されていた検修庫を活用したもので、当時の空気感がそのままに残っています。
展示されているEF63形電気機関車は運転席に入ることもできます。運転台に並んだ数々の計器類に心が躍ります。
こちらは189系のカットモデル。こちらも運転席に入ることができます。
車両の他に踏切や信号機の展示もあります。これらは横のボタンを押すことで動作体験も楽しめます。
こちらは反転フラップ式案内表示機。鉄道ファンには“パタパタ”と呼ばれ親しまれているものです。現在はLED式案内表示機などに活躍の場を譲り数を減らしているのでこちらも貴重かつ懐かしいアイテムですね。
こちらはED42形電気機関車。
こちらは車両の足元を見学でき、アプト式鉄道の仕組みを実際に目で見て学ぶことができます。
奥へ進むと碓氷峠鉄道文化むら最大の見どころである屋外展示場が広がっています。碓氷峠の輸送を支えた車両をはじめ、全国から集まった往年の名車が20両以上ずらりと並んでいます。
こちらは“デゴイチ”ことD51形96号機。SLはどこの博物館でも花形ですね。重厚感溢れる真っ黒な車体やかつて全国を力強く走っていた動輪も間近で見られます。
続いてこちらはEF80形電気機関車。常磐線用に造られた交直流電気機関車で、特急「ゆうづる」をはじめ貨物列車の牽引にも使われました。
こちらはEF59形電気機関車。碓氷峠と同じく峠越え区間である山陽本線の瀬野~八本松間で補助機関車として使用されていた車両です。
こちらは1等寝台車マイネ40 11。車内の様子はあまり見られませんでしたが、当時としては超豪華な設備を誇っていたそうです。この車両は改造を受けオヤ41 2となったものを登場時の状態に復元したものとなります。
続いては荷物車のスニ30 8。車体に書かれた「荷物」の文字が目を引きますね。こちらも改造を受け救援車として使用されていたスエ30 9から復元されたものとなります。
こちらはキハ20系気動車。クリーム色+朱色のカラーリングはまさしくザ・国鉄。懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。個人的にはこの車両を見ると田舎の原風景が頭に浮かんできます。カラーリングやおでこのライトが非常に可愛らしくて国鉄型車両の中でも特に好きな車両です。
続いてこちらはキハ35 901。ラッシュ時の大量輸送に対応すべく気動車としては初となるオールロングシート、両開き扉を採用した車両です。扉が外吊り式となっているのも特徴的ですね。房総地区の塩害対策としてステンレス車体を試験採用した車両でもあります。やがて八高線、川越線に転用され、方向幕も「川越」の表示となっています。
こちらは荷物気動車のキニ58 1。顔がキハ40形に類似しているためパッと見旅客用の車両みたいですが、側面を見ると荷物車であることがわかりますね。
インパクト抜群のこちらの車両は除雪用ディーゼル機関車DD53形。大きな出力を出せるのが特徴の除雪車ですが、大出力が故に沿線への被害も大きく、活躍の場が限られてしまった悲しい車両でもありました。
正面から見るとこんな感じ。除雪車のロータリー部分をこれだけまじまじと見られる機会もなかなかないので貴重ですね。
こちらは操縦車ソ300。クレーン車でありながらディーゼルエンジンを搭載し、自走も可能となっています。こちらも見た目のインパクトが大きく迫力が凄かったです。このような作業用の車両を保存している博物館はわりと少ないので貴重ですね。
こちらのEF63形1号機は碓氷峠専用に製造された電気機関車で、同区間が廃止されるまで長きにわたって碓氷峠の輸送を支えた車両です。最近塗装し直したのか非常にピカピカでした。
一方でこちらの3等客車ナハフ11は車体の傷みがかなり目立っています。大宮の鉄道博物館のように常に綺麗に整備された車両とは一味違う趣があってこれはこれでいいのですが、さすがにここまで傷んでると早く修復してほしいという気持ちが勝ってしまいますね。
常に吹きさらし状態の屋外展示は屋内展示と比べ車両の痛みも早くなります。このように鉄道車両を保存している団体は全国にたくさんありますが、メンテナンスにかかる費用の大きさからそのままほったらかしの状態にされている車両も少なくありません。その中でも碓氷峠鉄道文化むらは車両の保存に向けて懸命に努めている施設だと思うので、これからも頑張ってほしいです。
左側の赤い電気機関車はEF70形、右側の車両は12系客車をお座敷仕様に改造した「くつろぎ」です。くつろぎは各号車に愛称が付けられており、そのうちの1号車「赤城」と2号車「榛名」が保存されています。
ちなみに展示車両は一部を除いて休日には車内にも入ることができます。現在は新型コロナウイルス感染防止のため中止されていますが、今度はぜひ車内も見学したいですね。
屋外展示場の奥には特急あさまとして使われた189系とEF63形電気機関車が展示されています。
EF63形は動態保存となっており、運転体験も行われています(要予約)。
189系は年に数回車内公開イベントが行われていますが、それ以外の時は遠くから眺めるだけとなっています。スター車両ということもあって以前は部品の盗難などが相次いでいたそうで、このような展示方式も盗難対策のためでもあると考えられます。一部の悪質な人の行動で近くで見られなくなってしまったのはとても悲しいです。
先にも触れた園内周遊列車の「あぷとくん」にも乗車しました。
客車は3両編成で、それぞれ「赤城」「榛名」「妙義」と名付けられています。
あぷとくんからの車窓を撮影した動画を以下に載せておきます。これで少しでも乗った気分を味わっていただけたらと思います。
ここで鉄道文化むらを一旦出てすぐ脇を通るウォーキング・トレイル「アプトの道」を歩いていきたいと思います。この「アプトの道」は廃止された信越本線の線路を活用した遊歩道です。鉄道文化むらの収容車両も外から眺められます。
20分ほど歩いたところに現れるこちらの建物は旧丸山変電所。碓氷峠が廃線になるまで使用されていた施設で、現在は国の重要文化財にも指定されています。やっぱりレンガ造りの建物は重厚感があってかっこいいですね。
さらに15分ほど歩いて峠の湯に辿り着きました。雨が結構強く降っていたので距離以上に疲れました。アプトの道はここからさらに先熊ノ平駅まで続いているのですが、今回はこちらの峠の湯で一休みしてから折り返すことにしました。
お風呂で雨と汗で濡れた身体を洗い流し疲れを癒した後は昼食タイム。併設の食事処で横川名物の峠の釜めしとミニそばのセットを注文しました。
腹ごしらえも済んだところで外に出ると、さっきまでの雨が嘘のように晴れていました。
先ほどの旧丸山変電所も空模様が変わるだけで一気に印象が異なって見えます。アプトの道と並走してトロッコ列車の線路が通っており、旧丸山変電所にも駅が設置されています。トロッコ列車「シェルパくん」はぶんかむら駅からまるやま駅を経由してとうげのゆ駅までを結ぶ全長約2.6キロの路線です。アプトの道は旧信越本線の上り線、そしてトロッコ列車ラインが下り線を使用しています。
シェルパくんは土休日を中心に運転されているのですが、今回は平日に訪れたため残念ながら乗ることはできませんでした。今度はぜひ休日に訪れてトロッコ列車にも乗りたいと思います。
ここで再び鉄道文化むらに入館。当初の予定ではここでお土産だけ買って帰ろうと思っていたのですが、せっかく晴れたのでもう一度館内を回ることに。
青い空と白い雲がとても綺麗ですね。これぞ屋外展示の醍醐味と言わんばかりに車両達が日差しに照らされて美しく輝いています。
雨上がりのSLは一段と黒い車体が輝いていますね。個人的にはこの2両の並びがとても好きです。国鉄時代を象徴するようなフォルムとカラーリングでとてもノスタルジックな気分になります。
189系あさまとEF63形もご覧の通り美しい青空と緑に囲まれています。この日は予報からあいにくの雨で少し残念な気分でしたが、最後の最後でいいものが見れてよかったです。
というわけで碓氷峠鉄道文化むらのレポートは以上になります!
今回ブログに載せたもの以外にもたくさんの車両や資料が展示されていて、とても見応えのある施設でした。そしてなにより展示車両のラインナップがとても渋くて非常にマニア心をくすぐられました。ここでしか見られないような貴重な車両も多く、大宮の鉄道博物館などとは一味違う魅力がここにはあると思います。
最後に冒頭でも述べたE4系の乗車記の動画を貼っておきます。往復両方の様子を1本の動画にまとめています。