【ネタバレあり】欅坂46のドキュメンタリー映画を観て感じたこと

はじめに

この記事には映画のネタバレを含みます。映画「Documentary of 欅坂46 僕たちの嘘と真実」を見てから読むことをおすすめします。

また、記事の中には多少厳しい意見を述べている箇所もございます。ご了承ください。

 

 

欅坂46ドキュメンタリー映画「Documentary of 欅坂46 僕たちの嘘と真実」を観てきました。

この映画を通して改めて欅坂46の楽曲とパフォーマンスはグループの軸でありグループの全てであるということを感じました。

 

そして映画を全て観た上で今回のリスタートは正しい判断であったと思うし、その上でこの映画がこれまでの欅坂46のまとめになってよかったと思います。

 

正直な話この映画を見ている間涙を流したシーンは一つもなかったし、笑えるシーンも一つもありませんでした。時には楽曲に圧倒されつつもただただひたすら眉間にシワを寄せ続けていたという感じでした。

日向坂46のドキュメンタリー映画(3年目のデビュー)はこれまでの出来事をありのままに、そしてわかりやすく伝えていた感じでしたが、こちらはドキュメンタリーというよりは一本の作品として完成されていて、黒いところはより黒く描きながら「欅坂46」という一つの作品を写し取ったものになっていました。

 

この映画を観る前と観た後では欅坂46の見方が確実に変わるのである程度の覚悟を持って観ないといけないと思いました。そして繰り返し観るのは正直きついとも感じました。それくらい刺激的な内容でかなり体力を削られました。

 

欅坂46は良くも悪くも平手友梨奈に振り回され続けたグループだったと思うし、脱退後に公開されたこの映画も結局平手友梨奈を中心に描かざるを得なかったのだということはよく伝わってきました。

 

自分の気持ちだけでライブを欠席したりすることはグループに所属する者として許されるのだろうか、自分勝手ではないだろうかということは思いつつも一方で本当に自分勝手なのは大人達の方なのでは?ということを感じました。特に東京ドームライブのアンコールで限界ギリギリの状態のてちをなんとかしてステージに立たせようとする様子はライブを成立させる上で仕方ないこととはいえ、そこまでして無理をさせる必要はあるのだろうか...と感じるところもありました。

途中のシーンで運営の人がメンバーに「平手がいないと何も出来ないグループなのか?」と言っている場面がありましたが、本当にてちを頼りっぱなしにしていたのは運営の方だったのでは?とも感じてしまいました。本当にメンバーのことを信頼していてそれぞれのポテンシャルを信用しているのなら他の人にセンターを任せることだってできたはずなのに、結局誰もそれを変える勇気が出せなかったのだろうということを感じます。

 

平手友梨奈という人物が唯一無二の感性と表現力を持った天才であるということは間違いないですが、アイドルグループには向いていなかったのではないかということを全編を通じて感じました。しかしだからこそ欅坂46はこれまでにないアイドル像を築くことができたとも思うし、世間にインパクトを残すことができたのだとも思います。なかなかに悩ましいポイントですね。

 

ライブで「ガラスを割れ!」を披露した時にアドリブで花道を駆け抜けステージから落下するという出来事が映されていましたが、TAKAHIRO先生もこれには怒ったと言った通り、気持ちが乗っていれば何をやってもいいわけではないということをこの後のシーンでも何度か感じました。

 

この映画の中でキーとなる楽曲がいくつかありますが、その中でもやはり特筆すべきなのが「不協和音」だと思います。メンバーのインタビューでも語っていましたが、この曲をパフォーマンスしている時のてちはまるで別の人格が乗り移ったかのようで、MV撮影の際に本番中は気迫溢れるパフォーマンスをしていたのに対し撮影後スタッフの元へ行くと可愛らしい笑顔を見せる様子には恐怖すらも感じるほどでした。

さらにライブ映像などではてち以外の他のメンバーにおいてもこの曲が始まると何かスイッチが入ったかのように表情が変わり、半ば暴走気味に気合いの入ったパフォーマンスを見せている様子を感じ取ることができました。それが顕著に出ていたのが2017年の紅白歌合戦であり、これ以降2年近くこの曲が封印されたことにはメンバーが数人倒れたという事実だけでなく、この曲が持つパワーないし魔力のようなものを本当の意味で封印していたのではないかと感じるほどこの曲には特別な“何か”があったのだと思いました。

 

そしてこの紅白歌合戦の直後に欅坂から一度離れることをメンバーに相談するシーンがあり、これまで明かされなかった事実に衝撃が走りました。これ以前から今年1月に脱退するまでの間てちからは何度もSOSのサインが出ていて、既に終わったこととはいえ運命を変えるタイミングはいくつもあったはずなのにどうしてこのような結末になってしまったのだと感じるところもあります。

 

頭の方でも少し言いましたが、この映画を見て「欅坂46」という一つの作品がこれにて完結したかのようにも感じました。しかし、作品のためなら一人の人間がボロボロになっても構わないのでしょうか。メンバーに寄り添いケアしてあげることは作品を完成させる以前の大きな問題であると感じます。

 

もう一つ衝撃だった事実として9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」の制作がMV撮影まで進んでいたということでした。あそこに向かうまでにどれだけの数の人間が動き、どれだけのお金がかかっているか、そして発売延期が決まり大人達がどれだけ頭を下げてきたかということを想像すると発売延期、最終的には実質的な制作中止となったことの重大さは計り知れないものです。先程の自分勝手なのではないかという点、そしててちのSOSに誰も応えなかったという点がここにも繋がってくると思います。

 

欅坂46の楽曲の振付を担当するTAKAHIRO先生はもはや振付師を超えてメンバーの心の支えでもありグループにとって欠かせない存在になっていると感じました。TAKAHIRO先生がいなかったら欅坂はここまで続けられなかったと思います。

 

もっと見たかったな〜と思ったのが卒業生のシーンです。申し訳程度にずーみんやねるの卒業に触れていましたが、卒業に至るまでの心境などをもう少し掘ってほしかったです。黒い羊のMV撮影後にてちの元にメンバーが駆け寄る中一人佇んで見つめるだけだったすずもんもなんだか意味深だっただけでその後は特に何もありませんでした。

 

あとはひらがなけやきについてのことが一切出てこなかったことも少し残念に思いました。それは自分がおひさまだから見たかったというわけではなく、漢字メンバーからひらがなはどのように見えていてどのように刺激を受けてきたのかという点がずっと気になっていたからです。この映画を見る限りでは漢字欅からひらがなは眼中にすら入っていなかったのか?と感じてしまいます。特に平手友梨奈の負傷により武道館公演がひらがなけやきに振替になった時、漢字欅のメンバーはどのように思っていたのかという点は見てみたかったです。

 

この映画を見て感じることは人それぞれ全く違うと思います。

ここまで書いてきた自分の意見に関しても批判や反対意見を持つ人もたくさんいると思います。それでもここまで読んでくださり本当にありがとうございました。

 

10月12日・13日に開催される「欅坂46 ラストライブ」はこれまで純粋に欅坂を応援し続けてきたファンの方々に行っていただきたいため、私は遠慮しておきますが、もし配信などがあるようだったら欅坂の最後をこの目で見届けたいと思います。